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目次
はじめに
2024.06.28-29の 2日間にわたって開催された開発生産性カンファレンス2024に参加してきた。
このイベントがたいそうよかった!
元々、「うちのチームの開発、もっとモダンにできないかな」「他社のプラクティスからヒントをもらえないかな」と思っていて参加したのだが、そのニーズに応えてくれるイベントだったように思う 👍
さらに、今までうまく言語化できなかった “組織を変える方法” みたいなものを説明できるようになったと思う。
ので、イベント参加レポートをお送りしたい!
開発生産性カンファレンス2024の概要
開発生産性とは
これを論じるのは結構難しい気がするのだが、簡単にいうと「開発者がどれだけ効率よく価値を創造できているか」を表す指標なのかな?
より小さなリソース (資金とか時間とか) で、より大きな価値を生み出せていれば、”開発生産性” は大きくなる、と。
最低限、開発生産性はレベル1-3に分けられるという点についても述べておきたい。
事業の成長に直結するかどうかといった観点で、レベルが分かれている。
- レベル1: 仕事量の生産性
- 作業量としてどれだけ多くこなせたかを表す
- プルリクエストの数とか、消化したストーリーポイントの量とか
- レベル2: 期待付加価値の生産性
- 生み出した事業価値の期待値を表す
- 完了した施策の数とか
- レベル3: 実現付加価値の生産性
- 実際に事業に貢献した度合いを表す
- 売上や KPIの達成度など
このカンファレンスについて
昨年度も開催したみたいだけど、テーマが進展してるっぽい!
昨年7月の開催では、“開発生産性とは何か” をテーマに、
その定義や進め方について切り開かれました。2024年は、事業インパクトにつながる開発生産性の捉え方や進め方、
公式サイトより抜粋
具体的な生産性向上に向けた施策についてもう一歩踏み出します。
こうして見ると、このカンファレンスのコンセプトや意義といったものがよくわかるのではないだろうか! 💡
期待とか、参加した動機
このイベントに参加した動機はいくつかあるが、特に「自社の開発スタイルをモダナイズしたい」というのが大きかった。
抽象の観点で知りたかったことは、
- 開発生産性って何だろう?世のテック企業はどう捉えているんだろう?
- これを浸透・改善させた事例
といったことだった。
一方で、具体の観点では
- 自チームに合った自動テストのツールがないか (特に E2Eテスト)
- チームトポロジーの話とかも聞いてみたいな
といったモチベーションだった。
全体的な感想
まずは、セッションの量と質がすごい!
事前の期待に対して、充分な情報を提供してくれた 💪
次に、規模がでかい!
2日間にわたっての開催、多くのスポンサー企業、ほぼ満席のセッション、賑わう展示ブースエリア、…
これは準備も運営も大変だったろうなあ…
それと、参加者を満足させるための工夫も素敵!
会場は基本的に快適で、ドリンク・ランチが提供されたり、受付がスムースだったり、同時通訳もあったりと、充実していた。
展示ブースを回ると引ける巨大ガチャも盛り上がっていて、すごく楽しめた! 😊
(空調はちょっと寒かったけど、事前に「ホール冷えるかも」って情報が案内されてたから大丈夫だった!感謝!)
そして、登壇者がとても豪華! 👏
海外からも著名な方が登壇されていたし、日本の宝みたいな方がたくさん来られていた。
広木さんとか及川さんとか、「生で見るの初めて!」という方も多かった。
学び
学びはいろいろあったが、特に大事だと思ったことをメモしておく。
さまざまな事例・プラクティスを見聞きして、一貫して感じたのは以下の 2点であった。
- 方法論の話をする前に、自組織の課題を認知・可視化し、目的を明確にする
- 小さな成功を設計して積み重ねる
方法論の話をする前に、自組織の課題を認知・可視化し、目的を明確にする
私は、チームの中で E2Eテストをたくさん手動でやるのがつらい & この手動テストがリリース作業を遅延させていると考えている。
…ので、自動化したいと思っていた。
ただ、もしかすると他のメンバーはそれをつらいと感じていないかもしれないし、実はリリースサイクルにもさして影響がないかもしれない。
そんな中で「E2Eテスト自動化しようよ!」と私が声をあげても、勝手をいっているだけという構図になる。
なので、
- この手動の E2Eテスト、つらくない?
- リリースサイクルを遅くしてない?
- そもそもこのテストは本当に必要?テストピラミッドに基づいて再整理したほうがよくない?
といったことを先に明確にしなければならない。
そのうえで「自動化したほうがいいね」と判断して、初めて自動化という解決法を考える。
この流れを疎かにしてはいけないなと再認識した 📝
小さな成功を設計して積み重ねる
ここ半年くらい、「組織の文化を変えるにはどうすればいいんだろうか」ということを考えてきた。
私がひとりで技術広報ラジオをやっているだけでは、組織に学びの習慣は生まれない。
もっと多くの個々人に働きかける必要がある。
たとえば、「開発生産性って考え方、大事だと思う!うちの組織でもちゃんと取り入れよう!」と誰かが思ったとする。
すると、実現のために、この思想を組織に浸透させていくことになる。
ただ、この「浸透させる」というのは、びっくりするほど難しい (と私は常日頃感じている) 🤔
なので、これをたったひとりの行動で実現することはいったん諦める。
ではどうするかというと、仲間を増やしていこうという話になる。
ちょっとずつ増えていつか多数派になれば、それはもう組織を変えたといっていいだろう!という考え方。
そうしたら、どうやって仲間を増やすのか。
経験則的に、いきなり「仲間になって!」はほぼ成功しなかったので、「なんか気がついたら仲間になってた」みたいな状況を目指したい。
そのためのひとつの解として、まずは小さな成功を設計し、周りの人にメリットを感じてもらうのがよさそうだ。
いきなり理想形を目指すのではなくて、メリットを感じやすく始めやすいファーストステップを見つけ、それを解決するということ。
そうしたら、「いいじゃん!」と思ってもらえる。
そうしたら、「次はこれを一緒にやりませんか?」と誘えるかもしれないし、「こんな風に改善してみたよ!」と寄ってきてくれるかもしれない。
それを繰り返し、価値を大きくし、仲間を増やし、スケールする形に発展させ…
みたいな感じで、着実に進められるのではないだろうか!
印象に残ったセッション
- 『価値のある機能をユーザに早く届けるための大企業エンジニアの挑戦』
- NTTコミュニケーションズの川瀬さんと牧志さん
- 開発プロセスが長くなりがちな大企業において、リリースサイクルを高速にするために活動したというお話で、とても背中を押された
- ボトムアップに、熱意と論理の組み合わせで向き合っていた
たとえば、複雑なリリース判定に対して、「何をレビューすべきなのか」「レビューが不要なのはどういうときなのか」といったことを丁寧にすり合わせたエピソードが聞けた。
- 『エムスリー vs ラクスル エンジニアは事業KPIにどう向き合うのか?』
- エムスリーCTOの山﨑さんと、ラクスルCTOの竹内さんによるパネルディスカッション
- スライドはない
- プロダクト開発チームにおける ROIをどう捉え、何を重視するか、異なる価値観が語られていて本当におもしろかった!
- 『タクシーアプリ『GO』におけるプラットフォームエンジニアリングの実践』
- GOの水戸さん (SREのリーディングをされていたっぽい)
- プラットフォームエンジニアリングの思想において、一種の完成形のようなお話で、すごく勉強になった
こんなチームが社内にいたら超絶心強いだろうな…
- 『実践チームトポロジー:プラットフォーム性とイネイブリング性の戦略』
- タイミーVPoEの赤澤さん
- チームトポロジーの実践例、すごくありがたい!
原理主義ではなく、共通言語、共通の価値観として活用できているという話がとても素敵だった 👍
- 『経営視点から捉えた開発生産性』
- Buysell Technologies CTOの今村さん
- 開発生産性を最大化するとき、手段よりも先に「どんなテクノロジー領域に投資するのか」という方向性があるのだ、という話が印象的だった
今までツールの話やメトリクスの話に閉じてしまいがちだったが、抽象度の高い考え方の一例を知ることができた。
- 『仮説検証生産性とプロダクトグロースサイクル』
- レクター代表の広木さん
- レベル2の「期待付加価値の生産性」を深く掘り下げる内容
特に、プロダクトをリードしている人や、部長クラスの人などに刺さる内容だと思う。
「どのように仮説検証をしていくか」という抽象的なテーマに対して、内在する不確実性を明らかにし、向き合い方を教えてくれるようなお話。
- 『開発生産性の観点から考える自動テスト』
- タワーズ・クエストの twadaさん (肩書きといい表記といい、どう書くのがいいのかわからない…)
- twadaさんといえば自動テスト!なので、自動テストの話
まさに関心の強かったテストピラミッドの話と、さらに「アイスクリームコーン型からピラミッド型に変えていくアプローチ」まで聞けたのでよかった!
結び
やっとまとまった! (ちょっと抽象度の高いこともまとめておきたかったので、時間を食ってしまった…)
このイベントを通して、今までぼんやりと感じていたことを言語化できるようになったり、行動を起こす勇気をもらえたりと、めちゃめちゃ成果を得た! 💪
「このツール、うちのチームに導入したいかも」と思えるような具体の選択肢も見つかった。
おまけにノベルティもいっぱいもらえて嬉しかった 🙌
ここで学んだことはちゃんと発信して、ちゃんと行動にも結びつけたい。
それと、今回は初めて?社内の人と一緒にカンファレンスを回った!
すごく楽しかったから、今後も広げていきたいな〜
最後に、運営のみなさん、素敵なイベントをありがとうございました!
そしておつかれさまでした! 👏