『ソフトウェア・ファースト』はDXの真の意味と、その方法論を熱く語る本だった

読み終えるまでの目安: 5分

目次

この本はどんな人におすすめ?

  • 自組織の DXを推進したい、もしくは文化を変革したいと思っているが、その道筋が描けず困っている人
  • “DX” という言葉の解像度を上げ、具体的に行動に結びつけたい人
  • 強い開発組織を作る思想や方法などを体系的に学びたい人
    特に、新たに開発組織のマネージャになった人
  • 今の組織に対し、「なんかイケてない」「このままじゃダメな気がする」のような漠然としたモヤモヤを抱えている人

本の情報

タイトルソフトウェア・ファースト あらゆるビジネスを一変させる最強戦略
著者及川 卓也
発行日2019.10.15

読んだ感想

簡単な要約

筆者は、DXとは何か?なぜ重要なのか?実現するにはどうすればいいのか?といったことを体系的に解説してくれていた

  • DXとは、ITを戦略的かつ自由自在に活用できるようになること
  • 日本は ITを単なる効率化の道具として過小評価してしまったため、ソフトウェアの世界で遅れをとってしまったと考えられる
  • 旧世代の組織を強い開発組織に生まれ変わらせるためには、以下のようなアプローチが必要
    • 経営層・マネージャの意識改革
      なぜソフトウェアが重要なのか、なぜ変わらなければならないのか、どのようなマネージャが求められるのか、…
    • 優秀なエンジニアを採用する体制、そして彼らが柔軟に活躍できる体制を整える
    • 自らの組織でソフトウェアを創る

アプローチの部分は大味な書き方をしてしまったが、本書では丁寧に解説されているので安心してほしい

大企業の中で悩んでいる身として、とにかく背中を押される

私自身、大企業の中で「組織の文化を変えなければ」と思いながら過ごしている
技術広報ラジオ “hello.pc” もそういった文脈で始めた

そんな私にとってこの本は共感と発見に溢れていて、とても鼓舞された
読んでいる途中、思わずノートを取り出して「今の仕事にどう取り入れようか…」と思考を書き出してしまうようなことが何度もあった

また、読んでいると著者である及川さんの思いがよく伝わってくる感じがする
心の底から日本の産業を変えようとしているんだな、とか

冒頭から終わりまで、彼のつよつよな経歴が本書の内容に確かな説得力を持たせているとも思う

時代背景の分析から始まる親切設計

この本は、昨今のソフトウェア業界の動向や、日本という国が置かれている状況など、時代背景の分析から始まっている
これのおかげで筆者の課題意識に読者もある程度近づくことができ、その後の内容も違和感なく入ってきた

こういった構成は多くの本に共通することかもしれないが、改めてすごくありがたかったと感じる

組織を変革する方法と、その根拠がしっかり書かれている

本書のいいところのひとつとして、解説されている方法論が具体的かつ幅広いという点がある

その方法論もモダンな内容であり信頼できる
幅の広さとしては、マネージャの在り方といった組織論からスクラムといった開発手法まで、いろんな視点で語られていた

また、各章の末尾に有名企業の CTOや VPoEなど、開発組織を牽引している業界人へのインタビューが載っている
それもこの本の内容を補足する実例としてありがたかった

結び

本書には強いメッセージ性があり、組織を変えようとする人に深く刺さるのではないかと思う
取り上げられているプラクティスも非常に参考になるのだが、何より筆者の思いに引っ張られて、すごく応援される

この本を読んでいる人が自分のマネージャだったら、とてもとても働きやすくなって、かつ成長できるだろうなと思う
組織の中の全員がこれを読んだらどうなってしまうんだろうか…

本書は世のマネージャ層の、そして組織の中で苦悩している人の助けになると自信を持っていえるので、もっと読まれてほしいなと素直に思う

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