読み終えるまでの目安: 5分
目次
はじめに
技術広報の活動って、農業に似ていると思うんです。
ぼんやりとそんな考えを綴ってみます!
ℹ️ この記事は 技術広報 Advent Calendar 2024 の 2日目のページとして執筆しました!
ダイジェスト
- 栄養のある土をつくり、肥料をやり、長く寄り添った先に収穫 (==発信) がある
- 作物は健全に生育すれば自然と実を結ぶ
- 本来、農家は作物を育てて収穫する人であって、自らで実を結ぶわけではない
- 収穫は農家にとってはゴールだが、作物にとってはプロセスのひとつでしかない
対象読者
- 技術広報に関わるすべての人
- 技術広報担当者
- エンジニア
- エンジニアリングマネージャ
- etc.
- これから技術広報を始めたい・盛り上げたいと思っている人
⚠️ 注意事項
この記事では、技術広報担当を農家に、エンジニアを作物に喩えています。
念入りにおことわりしておくと、「技術広報はエンジニアの上に立って、彼らを管理する存在だ」などと主張したいわけではありません。
何だってそうですが、どちらが偉いとかいう話ではありません。
技術広報に関するよくある悩み
私は、前職から技術広報を推進するうえで、さまざまな悩みに遭遇しました 🤔
- 発信する人がいない
- エンジニアに発信をお願いしても「ネタがない」といわれる
- 発信の習慣が浸透しない
- 成長意欲のあるエンジニアがいない
こうした問題は、技術広報の成功プロセスを段階的に分解することで、原因・対処が考えやすくなると思います。
また、単に発信をする or お願いするだけでなく、技術広報の仕事をもっと広い視野で捉えたほうが良いと気がつきます。
技術広報を農業で喩えてみる
技術広報担当者を農家、エンジニアを植物そのものとして説明してみます!
あなただったらどう喩えるか考えながら読んでもらうと、より楽しめるかもしれません 👍
発信 == 実の収穫
農家にとってわかりやすい成果は、作物の可食部を収穫することです。
この可食部を便宜上 “実” と呼称します 🍎
つまり、農家は作物に実を結ばせようとするのです。
また、その実の質と量をそれぞれ高めようとするでしょう。
エンジニアが成長する環境を整える == 土づくり
作物はしっかり生育しなければ実を結びません。
豊満に実るためには栄養が必要であり、その基盤となるのは土です。
技術広報が発信するコンテンツを得るためには、エンジニアが成長する土壌が必要なのです。
この土壌を整える方法としては、以下のようなものが当てはまりそうですね 📝
- 評価制度に成長性の観点を組み込む
- エンジニアの成長を支援する制度を設ける
- 勉強会やカンファレンスなどの参加支援
- 書籍購入費用の補助
次は、新たなエンジニアがチームに参画した (==種がまかれた) 後の生育に視点を移してみましょう!
エンジニアの日々の実務 == 作物の成長
さて、エンジニアたちは日々の実務を通して成長していきます 🌱
作物の生育には空気・水・光が必要です。
ただ、これらは自然のエコシステム (==プロダクト開発のプロセス) によって、ある程度供給されることと思います。
それを前提に、ここではさらに成長を促進することを考えてみましょう。
エンジニアに活力を与える == 肥料をやる
エンジニアに活力を与え、成長を促進するには、どのような方法が考えられるでしょうか?
私は以下のようなものがあると思います ✍️
- 新たな知識をインプットする機会を設ける
- 勉強会やカンファレンスなどへの参加を促す
- 業界で話題になっている情報を紹介する
- 社外のエンジニアと交流する機会を設ける
- 勉強会やカンファレンスなどへの参加を促す
- ミートアップや座談会などを主催する
- エンジニアたちの見落とされがちな成長・成果を取り上げ、称賛する
- 開発の動向を追ったり、エンジニアと対話をしたりして、活動をキャッチアップする
- そこで成果や改善などを見つけ、チームの外へポジティブに発信する
こういった活動をするのとしないのとでは、エンジニアたちの成長速度・活気がまるで違ってくると感じます!
カンファレンス参加・イベント主催は、それだけで技術広報になりうる
技術、主にソフトウェアの領域では、コミュニティを重んじる文化があります。
そのため、知見を交換するイベントはエンジニアたちに好まれ、特にカンファレンスはお祭りのような盛り上がりを見せます!
カンファレンスに参加してレポートを書いたり、協賛したりといった活動をすることで、社外のエンジニアから良い印象を持ってもらえるのではないでしょうか 👍
エンジニアたちの活動をキャッチアップしよう
エンジニアたちの動向を知ることは、どこに実がなっているか / なりそうかを知ることと同義であり、とても重要です。
たとえ発見したときは小さなものでも、それが翌月には立派な実に育っているかもしれません。
日々見逃さない仕組みを作りたいものですね。
(この仕組みについてはいろんな方法がありそうなので、考察の余地がありますね!)
育つ環境があれば自ずと実る
ここまで、「エンジニアたちに活力を与えて実を結ばせよう」といったことを考えてきました。
逆に、活力を与えてさえいれば、自ずとたくさんの or 良質な実がなるのではないかと私は思います。
これらを応用すると、「発信する人がいない」といった悩みが挙がったとき、それを段階的に分析できそうです!
その原因が土壌にあるのか、活力の問題なのか、見つけられていないだけなのか、順に考えてみましょう 💡
農家はあくまで収穫する人である
当然ながら、実を結ぶのは作物のほうです。
農家は収穫する人であり、自ら実を結ぶことはできません。
つまり、発信するコンテンツの主体はエンジニアにあるのです。
技術広報としては、エンジニアの持つコンテンツを育てること、発見することに注力しましょう 👍
作物のゴールは必ずしも実を結ぶことではない
農家の目指す成果は実を収穫することですが、作物 (というか植物) のゴールも同じとは限りません。
もちろん、植物側も実を結ぶことで種子を運び、子孫を残しやすくなります。
それを目指す個体は多いはずですが、すべての個体がそうと言い切れるのでしょうか?
エンジニアの中には、報酬や社会への影響力、自身の市場価値などに頓着しない人も多いと思います。
それを認知し、発信を好まない人に無理強いすることのないようにしたいものですね ☺️
結び
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!
農業で喩えるといいつつ、まだ触れられていないこともたくさんあります 🤔
- 雑草を抜いたり
- 実の間引き (摘果とよぶらしい) をしたり
- 実を売りに出したり
…といろいろありますが、大変だったのでやめました!!😂
ところで、読者の方の中には、「マネジメントもしくは組織開発の文脈がたくさん含まれている」と感じられた方もいたのではないでしょうか? 👀
執筆時点で私の勤めている株式会社ビットキーにおいても、「技術広報はエンジニア組織の成長サイクルの一部である」と考えています。
そのため、技術広報はエンジニアの組織開発を担うチーム (エンジニアリングマネジメント室) に位置しています。
この農業の喩えは、マネジメントや組織開発などでもできそうですね!
ひいては人と向き合うことなら大体応用できるかも…??