読み終えるまでの目安: 5分
目次
この本はどんな人におすすめ?
- 成果を出すチームを作りたい人
- これからチームのリーダー・マネージャーになる人
- チームの直面する人間的な問題について、具体例をもとに対処法を知りたい人
- HRTという単語に馴染みがない人
本の情報
タイトル | Team Geek Googleのギークたちはいかにしてチームを作るのか |
著者 | Brian W. Fitzpatric Ben Collins-Sussman |
訳者 | 角 征典 |
発行日 | 2013.07.19 |
読んだ感想
なんといっても読みやすい!
190ページくらいだし、割と字も大きいし、かなりさっぱりとした読み味
さらに、訳者は「リーダブルコード」と同じ角さんなので、和訳の質は申し分ないと思う
この本のおすすめポイントは、よくある問題とその対処法が具体例と一緒に解説されているところだ
「筆者には実際にこんな経験があって、こうしたらうまくいったよ」といった情報が簡潔に、かつたくさん紹介されている
以下に読んだメモをまとめる
集団としての力を重んじる
1人でできることには限界がある
この本では「1人の天才」よりも、「各々は凡才でも強く結束したチーム」をよしとしているようだ
強く結束しているというのは、たとえば
- チームのミッションステートメントを定め、メンバーがそれに合意している
- チームにマッチした文化が醸成されている
- 後述する HRTが実践されている
といった状態だと私は捉える
複数人で協力するからこそ、物事に多角的に取り組むことができ、「取り返せないほど失敗する」 or 「挫折する」といったリスクを低減できる
本書はそういった「強いチームを築くためのマインドセット」を提言する本だと感じる
HRTを徹底する
HRTというのは、
- Humality: 謙虚
自分が常に正しいわけではないということを自覚する - Respect: 尊敬
相手を認め、尊重する - Trust: 信頼
相手は優秀であり、適切な行動をとると信じる
の頭文字をとったもので、「ハート」とよばれているようだ
私もそうだが、アジャイルの文脈で知った人も多いのではないかと思う
HRTを守ることで、互いに高いレベルで協力し合うことができる
信頼があるから、相手に仕事を任せられる
謙虚さがあるから、相手の指摘やアドバイスなどを真摯に受け止めることができる
尊敬があるから、相手を攻撃することなく生産的な会話ができる
みたいな
有害な人に向き合う
本書でも記載されていたが、「有害」という言葉は慎重に扱わなければならない
とても強い言葉であり、これだけだと語弊を生む恐れがある
有害な人というのは、「そのチームにとって好ましくない行動をとる人」のことを指している
たとえば
- HRTに反した行動、つまりは乱暴な言動をしたり
- 長話でメンバーを拘束したり
- 「メンバーから攻撃されている」と思い込んだり
といったものだ
前提として、敵意を持ち「意地悪をしてやろう」と思って不適切な行動をとる人はそういない
あくまで「自分は正しいことをしている」と思ってそう振る舞っている場合が多い
…だから困るのだ
そもそも、人に「やめてください」と伝えるのは難しい
相手を傷つけないように気をつけながら考えを正しく伝えられるだろうか?
いう側にもいわれる側にも心労がかかり、反発があるかもしれない
リーダー・マネージャーも人間なので、多くの場合は目を逸らしたいはず
本人が自分で気づいて行動を改めてくれると信じたい…
けれど、本書によると「それでもリーダー・マネージャーは自ら手を汚して状況を改善すべき」とのことだ
状況を改善するというのは、たとえば行動を変えてもらうとか、最悪の場合はチームから脱退してもらうとか
ネガティブなフィードバックをするのは大変かもしれないが、「長期的にチームメンバーと文化を守るにはどうすべきか?」という観点で行動しよう
では、どのような姿勢で対処するのか?
ここでは簡潔に済ませるが、以下のようなものが実例とともに解説されていた
- 感情的にならない
悪口やとげのある言葉などにも反応しない - フォーカスすべき真の課題を示す
注意喚起をするときには、くれぐれも「相手そのもの」ではなく「相手の行動」に対して言及するようにしよう 👍
ミーティングは小規模に!
ミーティングに限らず、「メンバーの時間を大切にしよう」ということだ
情報を伝達するだけなら、ミーティングではなくチャットにしたい
顔を合わせてディスカッションをするにしても、人員は必要最低限にとどめたい
また、ちゃんと準備をして、事前に参加メンバーに情報を渡しておきたい
同様に共感した内容として、ミーティング中に別の作業をしている人がいても腹を立てず、「当人にとって出席する必要はあるのだろうか?」と見つめ直すべきだと書かれていた
どのみち耳を傾けず発言もしないのであれば、最初から呼ばないでおくのがお互いのためだと思う
他にも、誰かに質問する前に自分で調べて仮説を立てておくとか、タスクをお願いするときに背景情報を伝えるとか、現実的な範囲で相手の時間を尊重するようにしたい
まとめ
自分に響いたところを中心に書いてきたが、「Team Geek」はうまく要約するのが難しいと感じる
というのも、本書は具体例を含めながらも内容がとても簡潔にまとまっている
また、私はこの記事で省略せざるを得なかった具体例・筆者の経験談に大きな価値があると思う
そういう意味で、私自身この記事を通して有益な情報を提供できているかわからない
となると、この記事の内容に共感できた人よりも、ピンとこなかった人にこそこの本を読んでもらったほうがいいのかもしれない 🤔